新人客先常駐型SEだった私が統合失調症になるまで。第6話「私と年末年始」
年内の最終出勤日、会社で納会があった。
私は2次会である人と話した。
それは、会社の顧問でメンタルヘルス専門の上司だ。
上司とは結婚の話になって、何歳の人と結婚したいか、どんな人と結婚したいかなどの話をした。
あまりに細かく質問されたから、もしかして社内メールで告白したしたことがばれているのではないか、そう思って不安に押しつぶされそうになった。
飲み会が終わったらその上司は3次会へと行ってしまった。私は3次会へは行かず、別の先輩から上司の電話番号を聞き出した。
そして電話をした。「このまま会社を続けられるか不安だ」と。
すると、上司は「○○(社内恋愛をしている同期)も同じだ。今度話をしよう」と言った。
やっぱりばれているのではないか。そう思って不安でいっぱいだった。
そして大晦日。
私は不安でいっぱいだった。
社内メールで告白したことがばれていたらどうしよう。ずっとそのことばかりが気になっていた。
それからこんな考えに至った。もし社内メールで告白したことがばれたら罰として会社から個人情報を漏らされるのではないか、会社なら会社のPCのパスワードを知っているから、銀行のパスワードも推測されてお金をとられてしまうのではないか、そんな被害妄想が始まり、不安に押しつぶされていた。
親に相談してもろくに相談に乗ってもらえず、年越しそばを食べることさえ苦痛だった。
もう親を信用できない。そう思って年越し後の夜、一人で神社へ行った。
家に帰る途中物音を立てずに歩いていたら、誰かにつけられている気がした。もしかして誰かに狙われているんじゃないか、詐欺に遭うんじゃないかと不安になってしまった。
それから一睡もせず元旦の朝を迎えた。
私は不安で苦しみ続け、親に病院に行きたいと言った。
病院を調べてもらったが、元旦だから臨時の病院しかなく、病院ですら信用できなかった。
結局その病院へ車で連れて行ってもらったが、病院の割にはセキュリティが甘いような気がして、ずっと車から降りるのを拒んでいた。
警察にもこの病院が怪しいんじゃないかと電話をしたが、そこは正式な病院だと言われ、聞いてもらえなかった。
もたもたしているうちに病院の職員が車に来て、車から降りることになった。
私は車から降りたら車を盗まれてしまうのではないかと思い、なかなか車から降りられなかった。
仕方なく車から降り、病院内に入った。
院内では保険証のコピーを取られたり個人情報を記入させられたりした。やっぱり詐欺なのではないかと思いながら診察を受けた。
そして診察後、薬をもらった。
しかし薬には私の本名が書かれていたが、漢字が間違っていた。これも怪しい薬なのではないかと考えていた。
そして帰宅後。
私は薬のことを疑っていた。薬の名前を調べてみたら、普段飲んでいる薬と掛け合わせるのは禁忌だと書かれていた。
私は確信した。この薬を飲んだら死ぬと。
もう病院に個人情報を与えてしまったし、詐欺から逃れられない。しかし、ここで死ぬのは嫌だ。そう思って不安と闘っていた。
そうこうしているうちに夜が来た。
私は死ぬのが怖くて、親にも心配かけたくなくて、なかなか薬を飲めずにいた。
しかし、不安で寝付けず、仕方なく薬を飲むことにした。
「お父さん、お母さん。今まで私を育ててきてくれてありがとう。
23年間生きてきて、今まで幸せだったよ。」
そう言葉を残して、薬を飲んで眠りについた。
辺りには、私の大好きなぬいぐるみと、ふかふかな枕が置かれていた。
次回 第7話「私と1月上旬」