新人客先常駐型SEだった私が統合失調症になるまで。第7話「私と1月上旬」
1月2日。
目が覚めたら朝を迎えていた。
起きたらいつも通り父と母がいた。
そう、私は奇跡的に生きていたのだ。
生きていたことに喜びを感じ、友達とLINEのお年玉スタンプで遊んだり福袋を買いに行ったりして、充実した休日を過ごした。
薬も疑わず食後に飲んで、病気が遠のいたように思えた。
1月4日。
運転免許の更新に行った。
初回だったから、右も左もわからず混乱していた。
提出書類の裏面に、意識を失ったことがあるかどうかというチェック欄があった。しかしチェックをつけるべきかわからず、チェックをつけないでいた。
講義が始まった。
教師は厳しそうなおじさんで、「嘘はバレますからね」と何度も言ってきた。
私はチェック欄のことが嘘かどうか不安になり、全く集中できなかった。
講義を終えた後もマフラーを教室に忘れ、おじさんに指摘された。注意力が著しく欠けていたのだ。
そして免許証をもらう前の書類を提出するとき、幻聴が聞こえたような気がした。
「提出書類に証紙を貼ってください」と。
私が並んでいた列の前の人は、書類に証紙を貼っていた。しかし証紙購入機まで遠かったため、証紙を購入せずに列に並んだ。
すると前の人は証紙を貼っていなかった。
私は証紙を貼るべきか不安なまま列に並んだ。
ついに免許証を受け取る順番がきた。私は証紙を指摘されるか不安だったが、無事免許証を受け取れた。
しかし、免許証の写真を見たら、左目だけ目を見開いていて、まるで犯罪者のような顔だった。
目はバセドウ病のせいだが、証紙を購入していない罪で捕まったりしないだろうかと不安でいっぱいだった。
家に帰ってハガキを確認したら、初回に必要な額の証紙は買っていたことがわかった。しかし、それでも容疑者として近所の掲示板に顔写真を貼られないかなど不安があった。
1月5日。
年を越してからの初出勤。
年末年始を挟んで仕事のやり方を忘れかけていた。
それに免許証のことや社内恋愛のことで不安でいっぱいで、業務に全く集中できなかった。
ミスばっかりでどうしても集中できず、現場の上司に退職のことや社内恋愛のことを言ってしまった。
すると私には会社を続けてほしいと言われた。
相談して少しは気が楽になったが、それでも集中できず、不安は収まらなかった。
その日は仕事でミスが続いてほとんど業務が進まなかった。
1月6日。
私は母とゆうメンタルクリニックに行った。
行ってる途中に線路が脱線しないか、クリニックは詐欺なのではないかなど、不安なままクリニックへ向かった。
診察を受けると、先生は優しい人だった。
先生からは、「不安は全て思い込みだ、自分を客観的に見て、言われて嬉しい言葉をかけてあげよう」と言われた。
今までの不安を全て思い込みだと思うことで自然と不安は消えた。
それから不安はなくなり、充実した休暇を過ごした。
1月9日。
仕事が終わった後、納会で電話した上司と食事をした。
私は社内恋愛のことを怒られるのではないかとドキドキしていた。
しかし、社内恋愛のことは一切触れられず、仕事内容が不安で退職を考えているという話で通った。
そして言われた。「俺は会社の人間だから止めるけど、退職するかどうかはお前が決めることだ」と。
こう言われて決心した。退職をしよう、と。
しかし、退職を伝えることが不幸を招くとは、思いもしていなかった。
次回 第8話「私と退職の決意」